2011/12/28

トンボロのまち函館


函館元町・大三坂 tombolo

司馬遼太郎は「街道をゆく」で「拳を突き出したような」と、
小林多喜二は「蟹工船」で「蝸牛が背伸びをしたように伸びて、海を抱え込んでいる」とそれぞれ函館の特異な地形をこう表現した。


 11月の行政調査で飛行機を利用した。函館空港の滑走路は東と西の風に対応している。飛行機の離陸する方向は向かい風。函館空港では西風時、湯の川温泉街に向かって機首を持ち上げ離陸する。

 まもなくすると機体は大きく左に傾き、宇賀の浦の海岸線に沿うかのように弧を描きながら津軽海峡へ。右側の窓側座席からは、眼下に亀田半島から海峡に大きく突き出したその特異な地形が広がる。司馬遼太郎は、飛行機からこの光景を見たのかも知れない。



宇賀の浦(大森浜・日乃出町)で撮影


 拳は函館山、腕の部分は函館市街地だ。


 多喜二が蟹工船を発表した昭和初期、函館山は要塞地帯のため、描くことも写すことも出来なかった、地図からも消された。その名残からか、地図を広げると町名別にカラフルに塗り分けられているのに函館山だけが色がつけられていない。町名が付けられていないのだ。




 函館のような、砂州によって大陸や島と陸続きになった地形のことを陸繋島とか陸繋砂州と呼ぶ。
陸に繋がった島は函館山、陸繋砂州の上にJR函館駅や函館市役所が乗っている。
 砂州の一番狭いところは約1Kmしかなく、1キロ通と名付けられた市道が走る。


tomboloの天然酵母パン




陸繋島はトンボロ tombolo とも言う。

トンボロの地形は、新幹線を寄せ付けなかった、蝸牛のようにゆっくりと、時間が流れるまちを選んだのだ。

このtomboloを店の名前したパン屋が元町の大三坂にある。

自家製天然酵母と小麦、塩、水だけで作ったパンは、
素朴だが味わい深いパン、一度出会ったら忘れられないパンである。

トンボロのまち函館の、tombolo
私の足も大三坂に向かわせる

tombolo
URL:http://tombolo.jpn.org/


 

























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