目の前に津軽海峡、そして下北、津軽の山並み。函館山を起点にカーブを描く美しい海岸美。
耳を澄ませば波の音、心地よい潮の香りとともに
肌を伝わるふるさとの側から寄せる海風
そして本州を思わせる瓦屋根の町並み。
背中の側から突然、大きな音。振り向けばエンジン音を轟かせながら離陸して行く飛行機の姿。
その日が西風なら、離陸した飛行機は機首を上げ湯の川温泉街上空でパイロットは操縦桿を引き、なおかつハンドルを左に回し津軽海峡上に達する。
私の体もパイロットに操縦されたかのように左へ移動に元の位置に戻っている。そしてたったいま離陸したばかりの飛行機を小さな点になるまで目で追いかけている。
空港には飛行機の姿は無くなったはずだが、ジェット音が届いてくる。上を見上げると遙か頭上に2つのエンジンから
もくもくと蒸気が氷結して出来る飛行機雲が数十キロメートルの帯をつくっている。
この空は新千歳を離陸し日本海側を通り関西や九州方面を目指す飛行機のルートになっている。
長い飛行機雲が長い時間消えないのは、天気は下り坂の証。下北の山々がはっきりと見えるときもまた天気は下り坂と昔から漁師や船舶関係者には有名な話だ。
左は汐首岬、目の前に大間崎、右奥には竜飛崎と津軽海峡に迫り出す矢越岬が見える。
この海峡には実に多くの貨物船やコンテナ船が航行している。毎日、海峡を眺める住民はまるで海上で山が動くようだと言う。西へ向かうものは釜山などへ、東に向かうものは北アメリカに向かう、韓国や中国などの船。
はるか縄文の人々はこの海岸沿いに集落を築き何千年も世代を繋いできた。いまこの集落の上に函館空港の滑走路が台地の東西に延びる。
館の主は北方の産物、この豊かな海で捕れる産物を貿易することによって巨大な富を築き、何十万もの中国銭を入れた甕を土中に埋めた。いま、函館から台北や天津と空路で結ばれるのを見たら何を思うであろう。
ここは国指定の史跡 志苔館(しのり・たて)
私はこの場所が好きである。
2015.3.22 本間勝美
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