2011/02/16

函館、ナポリ、ウッズホール


ロワジールホテル函館にて
  世界三大夜景は函館、香港、ナポリだそうです。将来、国際水産海洋都市といったら函館、ナポリ、ウッズホールと呼ばれる時代がくるかも?

 ロワジールホテルで開かれた、函館国際水産・海洋都市構想シンポジウムに参加してきました。「これからの水産・海洋研究の展望」をテーマにパネルディスカッションが行なわれました。函館の持つ優れたフィールドと産学官が連携して進めるこの構想に函館の未来に対する大きな可能性があることを各パネリストの発言を通じて伝わりました。 メモから各氏の発言を紹介します。

未来大学はマリンIT、メディカルIT、モバイルITの3つの柱で研究開発をしている。
海洋観測をするユキビタスブイやリアルタイム海洋表示を開発、青森県十三湖のシジミ貝のトレーサビリティーやマリンブロードバンドの実験をしている。函館の都市のサイズは他機関との高い連携を進めるのに好条件。国際水産・海洋総合研究センターが出来ると、サイエンスコミュニケーション、市民との交流の場となる施設となる。市内の高等教育機関の連携(キャンパスコンソーシアム)も進んでいる。ここに医学部が加わることで、総合大学的なものが可能となる。  
                     (公立はこだて未来大学学長 中島秀之氏)

函館高専では、年間200トンも廃棄されるイカ墨は良質な黒色色素なため、食品廃棄物の有効活用をしようと函館工業技術センターと共同研究をした結果、顔料として化粧品メーカーなどが関心を示している。ホタテの貝殻も年間3、4万トン廃棄されている。これを活用して粒の細かな炭酸カルシウム粒子が出来る。函館は水産業のほか観光業がもうひとつの主要産業、新しい観光素材として科学を加味したサイエンスバイオツーリズムを進めても面白いのではないか。アジアから来た観光客が悪天候で夜景を見れずにがっかりさせないよう函館山ロープウェイ社の提案で5名の学生が「メガネ型夜景ビューアー」を開発。 (函館工業高等専門学校校長 岩熊敏夫氏)

市内各地にある多くの機関が研究センターという一つの建物に入ることはメリットが非常に高い。未来大学はじめ、水産試験場や七飯にある淡水試験場とも共同研究が出来るのではないだろうか。 (北海道大学北方生物圏フィールド科学センター センター長 長谷川周一氏)

◆海に面した研究所、その前の岸壁には北大の実習船、新おしょろ丸が繋留される。大学にある大型水槽で、イカがLEDでどう動くのかなど、新しい海の科学をつくっている。
宇宙に匹敵するくらい海は未知の世界。深海の海底の泥の中の微生物から人類にとって非常に有効なものが見つかるかも知れない。センターは起爆剤となるもの。
              (北海道大学大学院水産科学研究院 副研究長 桜井泰憲氏)

函館マリンバイオクラスター事業6年間の成果はガゴメは150件を超える商品となり、40億円の売り上げ。現在、函館の前浜には未利用の持続可能な資源がある、それらに付加価値をつけてブランド化できれば世界に売ることが可能だ。 
 文部科学省による、マリンバイオクラスター事業はセンターが完成する直前に終了する。これからは、経済産業省からお金を持ってくることも大事だが、外部資金だけをあてにするのではなく事業化が必要。センターを核に事業展開が可能になるだろう。
(北海道立工業技術センター研究開発部長 宮原則行氏)

渡島、檜山海域を担当している。いまガゴメが先に走っているが、あれは勿体ない。ガゴメにはフコイダンが含まれ体に良いと言われているが、どのように効果があるのかというエビデンスが出てこない。函館には医学部がないので未来大学に医学部があればお願い出来るのだが。
 ヨーロッパザラボヤは養殖ホタテに多大な被害を及ぼしたが、種類はわかったがその生態は大雑把にしかわからない。北海道大学のスタッフの力を借りて共同研究をすすめていく。(北海道立総合研究機構水産研究本部函館水産試験場 場長 渡辺安廣氏)

◆函館には多くの種類の海藻がある。食の安心安全、健康という3つの柱で研究を進めている。海の状態は今後どうなるのかわからない。そのためには海藻が絶滅した場合のことを考えて種を保存する必要がある。いまある宝を保存することも必要。海藻を利用して海域の保全を行なっていく。
 間違いなく外国の研究者が函館詣でをすることになるだろう。海だけではなく、函館、道南の陸も多くの食材の宝庫だ、海と陸の食材を活かすプロジェクトもいまから用意してセンターの完成に間に合わせることが必要。センターはまさに夢を共有して育てていく場所。
(函館国際水産・海洋都市推進機構 機構長 伏谷伸宏氏)

函館市は北緯41.46、ナポリ市(イタリア)は北緯41.03 、ウッズホールのあるアメリカ東海岸マサチューセッツ州の緯度は41.10~42.53、これら3つは同緯度にあり、 ウッズホール海洋研究所、ナポリ臨海実験所という世界でも有名な海洋研究所を有しています。2014年に旧函館ドック跡地に完成する国際水産・海洋総合研究センターは将来、函館がアジアの海洋研究拠点になるための第一歩となる施設です。

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