2012/03/05

議会質問「交通機関乗車料金制度と函館市の交通政策について」


長崎電気軌道(120円均一料金)

  
私は今回の交通機関乗車料金助成制度改定に対して多くの市民が納得していないと思い
ます。平成20年度の包括外部監査で実態調査の方法の見直しを指摘されているにも関わ
らず、抜本的な解決策も講じず、昨年9月の事業仕分けで廃止と判断されて慌てて、市民
の声も十分に聴かずに導入をすすめるそのやり方自体に納得していないのです。包括外部
監査で指摘された時点で、今後の交通機関乗車料金助成の在り方について、広く公共交通
のあり方について市民を巻き込んだ議論を行っていれば違う展開になっていたのではない
かと考えます。行政の不作為が招いた結果ではないでしょうか?2つの市民団体から寄せ
られた陳情「広く市民の声を聞き、拙速に見直し案を決めないこと」の項目については民
生常任委員会で議論中です。まず、市民、利用者からこの間、署名が提出されていますが
、どれだけの市民から署名が提出されているのかお知らせ下さい。

2月6日には市民団体から6,017筆の署名が市に提出され、さらに2月29日に1,334
が 追加提出され、合計7,351筆の署名が工藤市長あてに提出されました。7,351名の市
民が工藤市長に対して「実施を延期し、広く当事者・市民の声を聴いてほしいと求めてい
ます。市長、この記録的な大雪の中、これだけの市民が署名に思いを託しています。また
、今議会が開かれてから、障害者団体と市民団体から陳情が新たに議会に提出されてい
ます。質問します。この市民の声をどう受けとめているのか、市長にお聞きしたい。

次に、市長は12月議会の市戸議員の質問に対して、「皆さんのご意見を全く聞かないで
強引に進めるというようなことは考えていない・・・広範な意見をお聞きしながら・・・
」と答弁されていますが、では、障がい者団体は何団体から、高齢者は? ひとり親家庭
?はどのように意見を聞いたのかお知らせ下さい。

民生常任委員会の議論の中で、函館市は身障者などの実態調査を行ったのかとの私の質問に、身体、知的障がい児・者の在宅福祉サービスの支給決定者を対象とした2010年の調査を示しました。しかし、この調査は対象者918人で回答者は429名、回答率は46.7%しかありません。まして、制度改正のために行われたものではありません。これは、平成28年度以降の函館市障がい者基本計画の策定のための基礎資料とするためのものです。

(20の質問のうち、あなたの通院や通所、通勤以外に1週間に何回ぐらい外出しますかという設問があります。もっとも多いのが1~2回の49.9%、3回との回答は22.9%。0回は13.9%となっています。)

札幌市では、障がい者交通費助成制度の見直しを1年以上かけて行っています。当初、平
 21年度の実施予定を1年先送りして当事者と十分に議論をしたうえで新制度が出来て
います。函館市でも、障がい者全体、高齢者、ひとり親家庭を含む函館市民が利用しやす
い公共交通はどうあるべきかを議論する基礎資料が必要です。そのためには調査が必要
です。市長、大いに議論して納得できる、函館オリジナルな制度を作りませんか?


岡山電気軌道(電停が線路の中央にあり便利)



市長は市政執行方針の中で、主要施策の推進のために、市民参画によるまちづくりを行うとして、『市民の声を直接お聞きする「市長のタウントーキング」や各種団体との懇談会の開催、積極的な市政情報の提供など、広報広聴の充実に努め、パートナーシップによるまちづくりを進めます。』と言われました。  そして、むすびの言葉として、「活気に満ちて、だれもが幸せに暮らせるまち・函館」を築き、未来に継承していくためには、市民一人ひとりの知恵と力をあわせることが必要不可欠であります。
 私は、函館市民が夢や希望に向かって日々を過ごすことができるよう、心を澄まして市民の皆様の声を聞き、丁寧に議論を重ね、それらを着実に各種施策に反映させ、函館の明日を変えるという強い信念のもと、市政運営に臨んでまいります。とお話ししました。「心を澄まして市民の皆様の声を聞き、丁寧に議論を重ね」この言葉は今回の交通機関乗車料金助成制度には当てはまらないのか、お答えください。
次に、質問します。制度の見直しに当たって、交通政策を担当する部局も交えて、庁内議
論を行ったのかを伺います。市の提案する新制度は、東部4支所管内への拡大を予定して
いますが、今後、東部地域を含めた総合的な交通政策について考えられているのか質問し
ます。次に、私の考えと一致する論文がございます。少し長いのですが、大事な内容です
ので紹介します。都市計画学、自治体政策学が専門の中山徹奈良女子大学大学院教授は
、「公共交通に対する行政の財政支援」として、「日本の場合、公共交通といいながら多
くは企業が運営し、行政が運営している場合でも、公営企業として独立採算で経営して
いる。独立採算の場合、運賃収入で運営しなければならず、運賃が高くなる。公共交通の
運賃を適正な価格にするためには、独立採算ではなく、行政の財政的支援が不可欠とのべ
、多くの市町村では財政状況がよくないため、公共交通に対する財政支援と言っても、「
財源がない」の一言で片付けられます。しかし行政の予算はトータルに見るべき」で、「
公共交通に対する財政支援は、その点だけを見れば赤字です。しかし、財政支援をしたこ
とで運賃が安くなり、高齢者が自由に外出できるようになれば、そのことで、高齢者が健
康な状態を長く維持できて、介護度の進行を遅らせることが出来れば、介護保険の公費負
担が軽減されます。反対に運賃が高いために、高齢者が家に閉じこもり介護度の進行が早
くなれば介護保険の公費負担が増加します。公共交通に対する財政支援だけを見るのでは
なく、そのことによってもたらされる別の予算削減効果も視野に入れるべきです。民間の
バス会社にとっては、運賃が安くなることと介護保険の公費負担が減ることは何の関係も
ありません。しかし、行政にとっては、どこに税金を使うかという問題であり、両者は密
接に関係しています。財政支援の額よりも、それによって生じる予算削減効果が大きけれ
ばトータルで見ると財政的には望ましいと言うことになる。また、その高齢者にとっても
望ましいのであればさらに良いことだ」と述べています。市長、いかがですか、このよう
な考え方こそ日本一の福祉都市函館の取るべき方向だと私は思いますが、市長の見解をお
聞きしたい。

何が何でも4月実施を進めるんだと、私は市長に聞きたいんです。福祉施策だけではないんです。もっと広い視点が必要なんです。まさにまちづくりの視点、大きな視点でとらえることが必要なんです。遠回りするようですが、結果的に財政を改善していくことが出来る。直接、市長の見解をお聞きしたい。

市長、函館バスと函館市電の乗車料金をご存知ですか? 200円ですよ。高いと思いませんか?今回、市は上限額をつくるため、19都市の状況を調査しています。(旭川、秋田、横須賀、川越、和歌山、尼崎、下関、大分、宮崎、豊橋、長崎、宇都宮、高崎、西宮、熊本、岐阜、富山、奈良、鹿児島)今回提案の上限額は上限のある都市の平均が5,300円だったと説明しています。わかりやすいので路面電車についてお話しします。この19都市のうち路面電車の走るまちが5都市あります。富山、豊橋、長崎、熊本、鹿児島です。函館市電の乗車料金は200円ですが、長崎120円、熊本と豊橋150円、鹿児島160円、富山200円です。すべて均一料金。ちなみに富山はICカードを使用すると170円です。函館市電は、対キロ区間制料金で距離によって4段階、7㌔を超えると250円になります。全国一高い料金といってもいいでしょう。高いと思う要因には市民の所得の低さが背景にあります。納税者一人当たり所得をこの5都市で見ると豊橋市がトップの317.5万円で函館市は271.5万円と最低です。平成19年10月の数値ですが、生活保護率は富山市がなんと3.1‰と最も低く、函館市が38.2‰と断トツのトップです。

函館市  271.5万円 38.2‰
富山市  295.2万円  3.1‰
           豊橋市  317.5万円  3.7‰
長崎市  288.2万円 21.9‰
熊本市  299.4万円 15.0‰
鹿児島市 294.7万円 18.9‰
こういう条件を全く無視した、単純に平均をとる今回のやり方は市民、利用者の実態をまっ

 たく無視した、それこそ持続可能どころか函館市の公共交通を破壊する政策だと私は考えます。12月の市戸議員の質問に企業局長は「助成額に上限を定めることによって利用を控えることになれば、当然利用客は減ると」答弁しています。長崎市の路面電車は民間企業の経営ですが、どこにいっても120円往復でも240円、函館市電は7㌔以上乗ると250円往復500円。半額助成があるから往復250円ですが、半額助成があっても長崎市より10円高い。長崎はこの安い料金の上に上限制度を設定しています。まったく土俵が違うんですよ。私は実際に昨年、長崎電気軌道の路面電車に乗車したほか、岡山市の岡山電気軌道の路面電車にも乗車しました。岡山も120円均一で、岡山駅前から県庁の間の中心市街地はなんと100円です。こうゆう料金であれば別に高齢者や障害者などの制度をつくる必要もないのかと思います。函館市中心市街地活性化基本計画素案には、高齢化社会に対応し、公共交通の利便性の向上や機能充実を図ることが必要と述べられています。また、公共交通機関がもたらす経済や環境への効果も全く考慮されていません。どうでしょう、ご意見お聞かせください。

函館市電

  市長は、財政難、高齢化にともなう対象者増だから持続可能な制度を設けるといいます。確かに対象となる70歳以上の高齢者はこれからさらに増加します。何が想像できるかというと、上限を設けると、また持続可能な制度にしなければならないという理由で、上限額がさらに下がると思います。しかし、70歳以上の高齢者=対象者数は年々、増えていますが、助成券の交付率は下がり続けています。平成20年度58.61%、平成21年度57.46%、平成22年度56.36%です。高齢者(65歳以上)の免許保有者は毎年増加していますが、運転免許自主返納者は平成18年46人、19年14人、20年17人、21年24人、22年45人に過ぎず、自主返納率は過去5年間で一番多い平成18年でも0.21%に過ぎません。今後、戦後生まれ、とくに団塊の世代が高齢者となりますが、モータリゼーション時代に活躍した彼らは簡単に自動車を手放すことはないのではないでしょうか。

また、65歳以上の高齢者人口は、76,794人いますが、そのうち介護保険の要介護1~5と認定されたのが10,511人もいます。この層も公共交通機関の利用は困難だと思います。東部4支所管内の高齢化率は西部地区に次ぐ34.5%ですが、高齢者人口に対する介護保険の認定者数の割合を表す、出現率は16.9%で6地域中最も低い数字です。(高い順に西部24.0%、中央部23.1%、北部22.2%、東央部18.5%、東部16.9%)高齢者人口は市内で最も少なく4,970人、ここ数年は減少傾向を示しています。東部地区は要介護度3,4,5といった中重度の割合が高い地域となって居ます。第6次函館市高齢者保健福祉計画で示されています。東部4支所管内の介護保険認定者が少ないのをどう見るのか、漁業を中心とした生涯現役で働く元気な高齢者が多いのか?、高齢ドライバーが多いのか?そもそも介護保険サービスが少ないため認定者が伸びないのか?、大家族制度が残り家族介護がまだ残っているのか?この地域特有のものだけにこれも実態調査を行う必要がありそうです。さらに、同居する家族の車で外出している高齢者も全市的に相当数いるのではないかと思います。これだけでも、高齢者=対象者だけれども=利用者にはなりえないことがわかると思います。これも実態を調査する必要があります。高齢者の数だけを見るのではなくその中身、実態を見ることが求められます。市長、新年度に企画部に新幹線を含む公共交通の在り方を受け持つセクションが出来ます、時間をかけて本当に持続可能な公共交通政策つくりませんか?
先ほど、路面電車の話しをしました。函館市電は高齢者にとって、市民にとって便利なのかと、5分間隔で時刻表を見なくともよい点は非常に評価できる点です。高齢化時代の市電の在り方について、超低床電車が2両、部分低床車が1両あります。車椅子対応へ電停の改良を進められています。しかし、電停までのアクセスを考えなくてはならないのではないかと思うんです。高齢者の移動についての調査があります。後期高齢者のうち500m以上歩行できない人は5割近くいて、500m程度までしか歩けない人の外出率は5割程度以下というものです。電停が近くにないために市電沿線でも利用していない市民がいるのではないかと思うんです。電停間の距離に着目して見ました。函館市電は、電停間の距離がもっとも短いのが駒場車庫前~市民会館前間の200m、に対して600m間隔が堀川町~千代台間など5区間あります。長崎電気軌道は最高500m、200m間隔が10か所もあります。函館市電でも600m区間で電停の増設をすることにより、利用客を増加させることが期待できるのではないでしょうか。

また、料金も問題です。駒場車庫前~市民会館前間の200mに乗ったとしても200円です。70歳以上は100円かかります。これでは1区間、2区間では利用しません。丸井デパートの裏に市営本町改良住宅があります。風呂がありませんので、車を持たない住民は松陰町の銭湯に出かけますが銭湯は市電の杉並町~柏木町の間です。1区間往復するのに400円(70歳以上200円)銭湯料金は420円ですから、820円、70歳以上は620円かかります。これでは市電には乗りませんというか、乗れないんですね。経済的にも。

私は市電料金を70歳以上はこどもと同じ料金にすることで、半額助成券を廃止しいつでも半額で乗れる料金体系にすれば、わざわざ新たにプリペイドカードをつくったり、わざわざ事務作業が大変な制度をつくる必要はないと思うんですがどうでしょうか。市電は函館市が経営していますから市長が決断すれば、いつでも出来るのではないでしょうか。高齢者にどんどん外出してもらって市電にも乗ってもらう、歩いてもらう、そして介護保険の公費負担を減らす、そうしたら介護保険料も下がる。健康な高齢者が増えることで医療費も下がる。国保や後期高齢者の保険料も下がる。商店街に足を運んでもらって買い物をしてもらうそうして税収も増やす。これこそが工藤市長の目指す、「日本一の福祉都市はこだて」ではないでしょうか。
優秀な市職員と市民の英知をあつめれば素晴らしい仕組みができると思います。市長どうですか、市長の決断次第ですよ

私の思いは全てお伝えしましたので、市長ならびに他の議員のみなさんの英断を期待して私の発言を終わらせて頂きます。

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